林田真澄の説得により、霧島冬真は少し冷静さを取り戻した。
確かに梁川千瑠をすぐにでも始末することはできる。
しかし、その後の面倒も多くなるだろう。
特に今は夏目星澄が最も彼の世話を必要としている時だ。
霧島冬真は暗い表情で頷いた。「分かった。行こう」
林田真澄は心の中でほっと胸を撫で下ろした。霧島冬真を説得できて良かった。さもなければ、その結果は想像を絶するものになっていただろう。
霧島冬真は車のドアを開けた。
身を屈めて車に乗り込んだ。
彼は大谷希真に電話をかけ、指示を出した。「梁川千瑠を監視する人員を配置しろ。この件は間違いなく彼女と関係がある。有力な手がかりが見つかり次第、すぐに警察に通報しろ。今度こそ彼女を刑務所に入れてやる!」
大谷希真は躊躇なく応答した。「承知しました、霧島社長。すぐに手配いたします」