第278章 もう信じない

扉の外。

霧島冬真は夏目星澄の部屋のドアが完全には閉まっておらず、隙間が残っているのを見た。

彼はドアの前に立ち、貪るように夏目星澄を見つめていた。

しかし、見ているうちに、彼女は携帯を抱きしめて泣き出した。

その姿に彼の心は砕け散りそうになった。

霧島冬真はもう我慢できず、ドアを開けて飛び込み、両手を彼女の肩に置いて、切迫した声で尋ねた。「星澄、どうしたんだ?急に泣き出して。どこか痛いのか?」

夏目星澄は霧島の声を聞くと、すぐに彼を押しのけた。「触らないで!」

霧島冬真は心配そうな目で見つめながら、「分かった、触らない。何があったのか教えてくれないか?」

「私のことはあなたに関係ないわ。出て行って、出て行って!」夏目星澄は怒りに任せて霧島冬真を部屋から押し出した。