扉の外。
霧島冬真は夏目星澄の部屋のドアが完全には閉まっておらず、隙間が残っているのを見た。
彼はドアの前に立ち、貪るように夏目星澄を見つめていた。
しかし、見ているうちに、彼女は携帯を抱きしめて泣き出した。
その姿に彼の心は砕け散りそうになった。
霧島冬真はもう我慢できず、ドアを開けて飛び込み、両手を彼女の肩に置いて、切迫した声で尋ねた。「星澄、どうしたんだ?急に泣き出して。どこか痛いのか?」
夏目星澄は霧島の声を聞くと、すぐに彼を押しのけた。「触らないで!」
霧島冬真は心配そうな目で見つめながら、「分かった、触らない。何があったのか教えてくれないか?」
「私のことはあなたに関係ないわ。出て行って、出て行って!」夏目星澄は怒りに任せて霧島冬真を部屋から押し出した。
バタンという音と共に、ドアが閉まった。
霧島冬真がどれだけ押しても開かず、内側から鍵がかけられていた。
彼は焦り始めた。「星澄、俺のことを怒っているのは分かる。でも自分の体を危険にさらすのはよくない。ドアを開けてくれ、病院に連れて行くから」
しかし、部屋の中の夏目星澄からは何の反応もなかった。
彼は彼女が痛みで気を失ってしまったのではないかと心配になった。
焦るあまり、予備の鍵を探しに行くこともせず、ドアを蹴り破ろうとした。
「冬真、何をしているの?」
登坂萌乃は霧島冬真の切迫した呼び声を聞いて、仕方なく部屋から出てきた。
出てきた途端、霧島冬真が夏目星澄の部屋のドアを蹴ろうとしているのを目にした。
霧島冬真は慌てて説明した。「おばあちゃん、さっき星澄が部屋で泣いているのを見たんです。傷口に問題が出たんじゃないかと心配で、病院に連れて行こうとしたんですが、拒否されて外に閉め出されてしまって」
登坂萌乃は目を丸くした。「だからってドアを蹴るなんて、馬鹿なことを!」
「どきなさい、私が星澄と話をする」
彼女は霧島冬真を押しのけ、ドアの前に立ってノックした。「星澄、私よ。ドアを開けて、具合が悪いのかおばあちゃんに見せてちょうだい」
しばらくすると、ドアが開き、夏目星澄は目を赤くしながら、泣き声を含んだ声で言った。「おばあちゃん、大丈夫です。彼の言うことを気にしないで」
「本当に大丈夫なの?」
「はい」
「じゃあどうして泣いていたの?」