第277章 今となっては後の祭り

登坂萌乃の言う夏目星澄をいじめさせないというのは、もちろん霧島冬真に向けて言ったものだった。

当時二人が離婚した時、彼女は夏目星澄がきっとひどい目に遭って、傷ついて離婚に同意したのだと思っていた。

しかし意外なことに、離婚後に子供ができていた。

子供を夏目星澄が引き取ったということは、彼に対してまだ気持ちがあるということだ。

だが世の中何が起こるかわからない、夏目星澄は流産してしまった。

女性の流産は身体的なダメージだけでなく、精神的にも大きな衝撃を受ける。

だから登坂萌乃は、夏目星澄が退院後一人で生活することを全く心配していた。

そのため、嫁を実家に連れて帰って、自分で面倒を見ることを強く要求したのだ。

夏目星澄はお婆様の言葉を聞いて、言葉にできないほど感動した。