第288章 星澄の許しに値しない

霧島冬真は大谷希真に指示を出し終わり、夏目星澄を探しに戻ろうとした時、彼女が不機嫌そうな顔で出てくるのを見かけた。

大谷東也が一切口を開かないため、警察も当面は彼に対して手の打ちようがなかった。

夏目星澄はそのことを思い、やるせなく溜息をついた。

その時、霧島冬真が近寄ってきたが、夏目星澄は彼が口を開く前に睨みつけ、警告するように前に大股で歩き出し、どんどん足早になっていった。

霧島冬真も急いで追いかけ、「星澄、ゆっくり歩いて、転ばないで」と声をかけた。

夏目星澄は警察署の入り口に立ち、通りを行き交う車の中にタクシーがないか探した。

霧島冬真は彼女の耳元で「こんな遅い時間だから、送っていくよ」と言った。

夏目星澄は聞こえなかったふりをして、横に数歩移動した。

霧島冬真はすぐに追いかけ、「今は帰宅ラッシュで、タクシーを拾うのは難しいから、僕が送った方がいい」と言った。