夏目星澄がどれほど悲しく辛いことを話しても、梁川千瑠には全く共感できなかった。
「もういいわ、夏目星澄。そんなに言うのは私に罪を認めさせたいだけでしょう。でも、やってないものはやってないわ」
「それに、もう私を追い詰めないで。私はうつ病なのよ。精神が不安定で、死にたいの。私が死んだら、あなたが殺人犯よ。私は幽霊になってもあなたを許さないわ!」
それを聞いて、夏目星澄は一瞬固まった。梁川千瑠がうつ病だということを忘れていた。
帰国したばかりの頃は、自殺騒ぎを起こしていた。
でも彼女は、梁川千瑠のうつ病が嘘だと疑っていた。
霧島冬真の同情を引くためだけに使っているように思えた。
夏目星澄は不機嫌そうに眉を上げた。「あなたがうつ病だと言えば、本当にそうなの?」
梁川千瑠の目には得意げな色が浮かんだ。「これは私が言っているんじゃないわ。病院の証明書があるの。だから警告しておくけど、私に優しくした方がいいわよ。追い詰められたら、死んでみせるから!」