第285章 梁千瑠が逮捕される

警察は大谷東也をまた一晩中尋問した。

大谷東也は梁川千瑠との関係を認めようとしなかった。

そこで彼らは方向性を変えることにした。

ずっと大谷東也に注目を集中させていたが、すでに死亡している中村輝也のことを見落としていた。

彼は大谷東也と共に夏目星澄と梁川千瑠を誘拐したのだから、何か手がかりがないはずがない。

詳しい調査の結果。

中村輝也と大谷東也は刑務所仲間であり、同郷でもあることが判明した。

中村輝也の口座は出所後、毎月5万円が故郷の青木正志という人物の口座に送金されていた。

この青木正志は中村輝也の小学校の教師で、親戚ではなかった。

なぜこの送金をしていたのかは、青木正志本人に会わなければ分からない。

同時に警察は二人のアパートから12枚の銀行カードを発見した。すべて異なる名義で、各カードには10万円ずつ入金されていた。

つまり、彼らは120万円の預金を持っていたということだ。

しかし二人は出所してからまだ2ヶ月も経っていないのに、どうしてこんな短期間でこれほどの預金ができたのか。

警察は不審点を発見し、霧島冬真側にも連絡を入れた。

霧島冬真はハッキング技術を使い、12枚の銀行カードの出所をすぐに調査した。

すべて大谷東也がネットで購入した身分情報だった。

出所後3日以内にネットバンキングで開設したものだった。

約1ヶ月後、そのうちの1枚のカードに120万円が振り込まれ、その後他の11枚のカードに分散された。

この送金をした口座は、明月という質屋のものだった。

霧島冬真はこの手がかりを元に明月質屋の店主を突き止めた。

そして店内で必要な監視カメラの映像を入手した。

映像には梁川千瑠が自家の宝石を質入れする様子が映っており、急いで現金化する必要があったため、800万円相当のものを620万円で質入れしていた。

梁川千瑠はそのうちの120万円を質屋から大谷東也に送金させた。

一連の流れは明確で、証拠は確実なものだった。

大谷希真は直ちに監視カメラの映像を警察署に届けた。

その日の夜、梁川千瑠は警察に事情聴取のため呼び出された。

梁川千瑠は連行される時、まだ事態の深刻さを認識していなかった。単なる警察の調査に協力するだけで、適当に話をすれば帰れると思っていた。