林田瑶子は花井風真の深い情を見つめていた。
突然、夏目星澄を霧島冬真から離し、花井風真と一緒にいるのも悪くないと思った。
少なくとも命の危険はない。
あの忌まわしい梁川千瑠は三日に二度も嫌がらせをしてくるだけでなく、ますます異常になっていく。
今回は夏目星澄が運良く生き延びた。
次は彼女を傷つけるためにどんな悪意に満ちた行為をするかわからない。
警察の捜査がどうなっているのか、いつになったら梁川千瑠を有罪にして刑務所に入れられるのか!
夏目星澄はそのまま午後まで眠り続けた。
彼女はゆっくりと目を覚ました。
目を開けると、ベッドの横の椅子に座っている花井風真が見えた。
彼はノートパソコンで何かを打ち込んでいた。
しかし、夏目星澄が目を覚ましたことにすぐ気付いた。
花井風真はすぐにパソコンを脇に置き、「星澄、目が覚めたの?どこか具合の悪いところはない?」
夏目星澄は自分の額に触れ、体温は正常だった。「ないわ、熱も下がったみたい。だいぶ良くなったわ」
「それは良かった」花井風真は胸をなでおろした。
夏目星澄は少し申し訳なさそうに、「ごめんなさい、心配かけて」
花井風真は優しく微笑んで、「私に遠慮することないよ。お腹すいてない?何か食べたいものある?作ってあげるよ」
夏目星澄は空腹ではないと言おうとしたが、彼女の腹が抗議するかのようにグルグルと鳴った。
彼女の蒼白い顔に珍しく薄紅が差した。
ちょうど気まずい雰囲気の時、林田瑶子が入ってきた。夏目星澄が目を覚ましているのを見て、一気にベッドに飛び乗って彼女をきつく抱きしめた。「あぁ、星澄、やっと目が覚めた。心配したわ。どうして急に熱を出したの?幸い花井風真さんが来てくれて、あなたの面倒を見てくれたけど、一人で家で倒れていたらと思うとぞっとするわ!」
「私も何がいけなかったのかわからないの。たぶん寒くなってきて、冷えたのかも。でも薬を飲んで、ぐっすり眠ったら随分良くなったわ」
「あなた、大病を患って抵抗力が弱くなってるのよ。しっかり栄養を補給しないと。外で食事しない?私の知ってる広東料理のお店がいいのよ。そこのスープは本格的で栄養満点なの」
「いいわね」
夏目星澄は簡単に身支度を整えて、林田瑶子と一緒に出かけた。
花井風真も当然一緒についていった。