第308章 なぜ私はあなたの部屋にいるの?

霧島冬真は今、心臓が激しく鼓動していた。思わず喉を鳴らし、薄い唇が徐々に夏目星澄の顔に近づいていく。

キスしようとした瞬間、夏目星澄が寝言を言った。「霧島冬真...触らないで...」

霧島冬真の心は一気に底に沈んだ。

彼女は夢の中でさえ、自分を警戒しているのか...

日々思い続けている夏目星澄の顔を見つめながら、結局諦めた。

霧島冬真はゆっくりと起き上がり、引き続き夏目星澄の髪を拭き、最小音量のドライヤーで乾かしてあげた。

長時間かかって疲れ果て眠くなったが、それでも夏目星澄のそばを離れたくなかった。

そのため、シャワーを浴びた後、また夏目星澄のそばに戻り、そっと横たわった。

夏目星澄を抱きしめて眠りたい気持ちはあったが、目覚めた時に怒られるのが怖くて我慢するしかなかった。

それでも、こうして夏目星澄の近くにいられることが嬉しかった。