実は霧島冬真が夏目星澄をホテルに連れて帰らなかったわけではない。
途中で、夏目星澄がまた吐いてしまったのだ。
霧島冬真は仕方なく車を止め、近くの薬局で二日酔い薬を買いに行った。
彼女の具合が落ち着いてから、やっと連れて帰ることができた。
ちょうどその時、神田晓良は携帯の電池が切れて、フロントで充電器を借りに行っていたため、霧島冬真が夏目星澄を抱えてホテルに戻ってきたのを見ていなかった。
霧島冬真は夏目星澄を直接自分の部屋、最上階の presidential suiteに連れて行った。
夏目星澄はだいぶ意識が戻っており、男性に抱かれているのを感じ取り、本能的に抵抗した。「誰なの?離して、自分で歩くから、早く離して。」
彼女があまりにも激しく暴れるので、霧島冬真は彼女が床に落ちることを恐れ、仕方なく地面に降ろして支えた。