霧島峰志の言葉が落ちると、全員が一斉に霧島冬真の方を見た。
霧島冬真は相変わらず平然とした様子で、先ほどの影響を受けた様子は全くなかった。
ただ無表情に手を少し上げただけだった。
すぐに彼の後ろに立っていた大谷希真が、既に整理された書類を持って前に出て、出席している全ての株主に配布した。
株主たちは意味が分からず、次々と開いて目を通した。
「皆さんが手にしているのは、霧島グループのここ三年間の財務諸表です。そこには明確に記されていますが、会社の様々な利益に比べれば、今日の株価の損失など取るに足りないものです」
「私がこの地位に就いているのは、単に霧島家の人間だからではなく、会社の利益を最大化する能力があるからです。そして皆さんは会社の株主として、会社設立初期に父親世代がわずかな投資をし、それを相続したことで、資産を急増させただけです」