緒方諒真はさらに尋ねた。「でも、義姉さんが花井風真のことを好きじゃないからといって、将来他の男性を好きにならないとは限らないよね。もし彼女が心をときめかせる人に出会って結婚したいと思ったら、どうするつもり?」
「まさか彼女を奪って閉じ込めて、一生そばに置いておくつもりじゃないだろうな?」
霧島冬真の性格なら、そんなことをしかねない。
それを聞いて、霧島冬真は首を振った。「そんなことはしない」
「何をしないって?」
「星澄を傷つけることは、もうしない」
緒方諒真は霧島冬真の答えがずれているように感じた。彼が知りたかったのは、夏目星澄が本当に他の人と結婚しようとしたら、どうするつもりなのかということだった。
しかし、彼の落ち込んだ様子を見て、それ以上追及する気にはなれず、ため息をつくだけだった。「じゃあ、どうするつもりなの?」
霧島冬真は最後の一杯を飲み干し、決意を込めた声で言った。「もう決めている。今度は僕が彼女を愛する番だ」
緒方諒真はそれを聞いて、もう何も言わなかった。
彼には完全には理解できなかったが、その決断を尊重することにした。
「わかった。やりたいようにやればいい。俺に手伝えることがあったら言ってくれ。全力でサポートするから」
しかし翌日、誰かがネット上で霧島冬真と梁川千瑠の感情的なもつれに関する投稿を暴露した。
投稿では、二人は幼なじみで仲が良かったが、彼女が留学中に夏目星澄と不倫をして結婚したと書かれていた。
梁川千瑠が帰国した後も、自分が結婚していることを故意に隠して彼女と関係を続け、真実を知った梁川千瑠がショックを受けて、霧島冬真に説明を求めたという。
しかし霧島冬真はイメージを守るために梁川千瑠を陥れて投獄させ、さらに梁川家を破産に追い込んだとされていた。
完全に霧島冬真を女性の感情を弄ぶクズ男として描き出していた。
この件はすぐにネット上で大きな話題となった。
ネットユーザーのほとんどがこの話題に食いついていた。
霧島グループも大きな影響を受け、その日の株価は暴落した。
ネット民たちは霧島冬真を徹底的に非難した。
会社のイメージが損なわれ、株主たちの大きな不満と不安を引き起こすことは必至だった。
そのため緊急の株主総会が招集された。
会長であり株主の一人でもある霧島峰志も会議に参加した。