夏目星澄は部屋に戻ると、すぐにベッドに横たわって休んだ。
梁川千瑠が刑務所に入ることは、彼女の心に大きな慰めをもたらした。
彼女もようやく安心して眠れるようになった。
一晩中夢も見ずに朝を迎えた。
彼女が起きた時には、東條煌真と林田瑶子の二人は既に仲睦まじく一緒に朝食を食べていた。
夏目星澄は軽く咳払いをして、「すみませんが、二人とも少し気を付けてください。この部屋にはまだ生きている人がいますから」
林田瑶子は平然と東條煌真の頬にちゅっとキスをして、「仕方ないわ。私の煌真が美味しそうなんだもの!」
逆に東條煌真の方が恥ずかしそうに顔を赤らめて、「星澄、座って。朝食を持ってくるよ」
朝食は東條煌真の手作りで、味は上々だった。夏目星澄も久しぶりに食欲が湧いてきた。
林田瑶子は食べながら興味深そうに尋ねた。「星澄、これからどうするつもり?」
夏目星澄はお粥を盛る手を少し止めて、「歌を続けて、自分のアルバムを出したいと思っているの」
林田瑶子は少し考えて言った。「音楽に対する情熱は本物ね。卒業してからずっと忘れないでいるなんて。でも、前の事務所と契約解除したんだから、芸能界で活動するには事務所のサポートが必要よ」
夏目星澄はまだ具体的な計画を立てていなかった。「分かってる。でも私は自分で音楽を作りたいの。事務所に縛られたくない。もう少し考えてみる」
「うーん...じゃあこうしましょう。私が投資して事務所を作るの。プロの人を雇って人と仕事の管理をしてもらって、あなたは音楽に専念すればいい。技術提携という形で、利益は二人で折半よ」
「それは良くないわ。今、事務所を開くにはかなりの資金が必要でしょう。あなたもそんなに稼いでないのに」
夏目星澄は、林田瑶子が家族の力を借りれば楽な人生を送れることを知っていた。服飾デザインは彼女が好きだから仕事をしているだけだった。
しかし、家族は彼女の仕事を支持しておらず、日常生活の費用以外は余分なお金を与えていなかった。
それに普段から彼女には十分お世話になっているので、夏目星澄は彼女に事務所を開くような大変な負担をかけたくなかった。