第320章 あなたはそんなに彼女の幸せが見たくないの?

夏目星澄は罪に相応しい人が法の裁きから逃れたことを考えるだけで、胸が痛くて息ができなくなった。

梁川千瑠への憎しみは、もはや言葉では表現できないほどだった。

もし殺人が違法でなければ、彼女は必ず自らの手でこの仇を討つだろう。

しかし今、霧島冬真が彼女に脱獄したと告げたのだ。

このようなニュースは、彼女にとって晴天の霹靂だった。

電話の向こうで霧島冬真は直ちに星澄の様子がおかしいことに気づき、急いで慰めた。「星澄、慌てないで。警察は総力を挙げて梁川千瑠を捜索しているし、私も人を出して探している。必ずすぐに見つかるはずだ。」

しかし夏目星澄は、梁川千瑠が逃げ出した以上、そう簡単には見つからないと感じていた。

もし本当に何らかの手段で誰も見つけられない場所に逃げ込んでしまったらどうするのか?