第325章 命知らずはお前だ

梁川千瑠は一軒家で療養が終わりかけると、夏目星澄に復讐することばかり考えていた。

「おばあちゃん、いつになったら夏目星澄を連れてきてくれるの？もう待ちきれないわ」

刑務所での苦しみを、全て夏目星澄に返してやる。

いや、十倍百倍にして返してやる！

小野芙実も夏目星澄を捕まえたくないわけではなかったが、軽々しく動けない状況だった。

「千瑠、もうやめにしましょう。今は警察も霧島冬真の部下も貴女を探しているわ。状況が厳しすぎて手出しできないわ」

梁川千瑠は夏目星澄を骨の髄まで憎んでいた。今回彼女を捕まえて拷問できなければ、本当に国外に逃げられてしまったら、一生チャンスがなくなってしまう。

「おばあちゃん、私がこんな目に遭ったのは全部あの夏目星澄という賤人のせいよ。復讐して鬱憤を晴らさなければ、私、うつ病になって死んでしまうわ。お願い、助けて！」

小野芙実は梁川家の唯一の血筋という理由でなければ、こんな大きなリスクは冒さなかっただろう。

もし彼女が死んでしまったら、梁川家の先祖に申し訳が立たない。

最後に歯を食いしばって答えた。「分かったわ。できるだけ彼女を捕まえて復讐させてあげる。でも終わったら、すぐに私と一緒に逃げるのよ」

ここは結局霧島冬真の縄張りだ。できることは限られており、警察の目も気にしなければならない。

非常手段で夏目星澄を連れ去るしかない。

夏目星澄は退院してからずっと忙しかった。

寝食を忘れるほどと言っても過言ではない。

そうすることでしか、梁川千瑠の脱獄のことを一時的に忘れられなかったから。

林田瑶子は彼女がそこまで無理をするのを見て、過労死することを恐れ、半日休むよう強く勧めた。

夏目星澄は林田瑶子の説得に負け、休むことに同意した。

しかし家で静かに過ごすと、梁川千瑠が法の裁きを逃れて外で悠々と暮らしていることを考えずにはいられず、胸が痛んだ。

最後には耐えられなくなり、外に出て気分転換しようと思った。

目的もなく歩き回っていた夏目星澄は、最後にショッピングモールまで車を走らせた。

しかし車から降りる前に、人に認識されないようマスクを着用した。

最近『天誅の剣』が人気を博し、以前より露出が大幅に増えていた。

先日のイベントでは、多くのファンが会場に集まり、応援し、声援を送ってくれた。