第329章 たとえ死んでも夏目星澄と共に死ぬ

すべてが突然起こった。

夏目星澄は反応する間もなく、梁川千瑠に引っ張られて後ろに倒れてしまった。

そして彼女は霧島冬真の心を引き裂くような声を聞いた。「いや、星澄!」

彼は狙撃手が梁川千瑠を撃てば、その場で死んで夏目星澄を傷つけることはないと思っていた。

しかし彼女の執念があまりにも深く、死んでも夏目星澄を放そうとしなかった。

霧島冬真は狂ったように駆け出した。

彼女を救わなければならない!

大谷希真はすぐに後を追い、霧島冬真が飛び降りる前に彼の腰をしっかりと抱きとめた。「社長、飛び降りてはいけません。死んでしまいます!」

霧島冬真は必死に振り払おうとした。「離せ、星澄を救わなければならない。もう二度と彼女を失うわけにはいかない!」

大谷希真は歯を食いしばって手を放さなかった。霧島冬真に殴られて血を吐いても。