第334章 寝ていても大人しくない

夕食の後、大谷希真は急いで荷物をまとめて帰っていった。

夏目星澄は伸びをして、少し疲れを感じたので、お風呂に入って早めに寝ようと思った。

霧島冬真は星澄が浴室に入った後、散らばっていた書類を手に取り、仕事を続けた。

夏目星澄が風呂から出てくると、霧島冬真はすでにベッドに横たわっており、彼女のために半分のスペースを空けていた。

「星澄、疲れただろう。早く休もう」

夏目星澄は彼を一瞥したが、何も言わずに別のベッドへ向かった。

冗談じゃない。

意識がはっきりしている状態で、霧島冬真と同じベッドで寝るなんてありえない。

霧島冬真は彼女の態度を見て、突然胸が痛くなった。

入院した時、二人とも意識不明で救急処置を受けていた。

そして目が覚めた時、彼は夏目星澄がまだ目覚めていない間に、医師の反対を押し切って、彼女と同じベッドで寝ることを強く要求したのだ。

今や彼女は意識がはっきりしており、一緒に寝ることを拒否している。

しかし、他の方法がないわけではない。

霧島冬真は立ち上がり、自分のベッドを夏目星澄のベッドの横に寄せ、ぴったりとくっつけて、まるで一緒に寝ているかのようにした。

夏目星澄は背後の物音を聞いて振り返り、霧島冬真の行動を見て一瞬呆然とした。「何をしているの?」

「一人で寝るのが怖いんだ」霧島冬真は幼稚な理由を口にした。

夏目星澄は彼を白い目で見た。三十歳にもなって一人で寝るのが怖いだなんて。

誰が信じるというの!

彼の嘘を暴くのも面倒くさくなった。

体を反対側に向けた。

徐々に病室は静かになっていった。

夏目星澄はどうしても眠れなかった。背中に誰かの視線を感じていた。

でも振り返りたくなかった。

心の中で羊を数えていた時、突然腰に大きな手が優しく触れるのを感じた。

そして男性の温かい息遣いが首筋に触れ、そっと擦れた。

夏目星澄の心臓は急に早く鼓動し始めた。

拒否の言葉は、霧島冬真の体の包帯に触れた瞬間に止まった。

しばらくして、夏目星澄はようやく口を開いた。「霧島冬真、聞きたいことがあるの」

「うん、言って」拒否されなかった霧島冬真は、実は不安でいっぱいだった。星澄が自分の行動を嫌がるのではないかと心配で、声も小さくなっていた。

「あの時、私が落ちた時、なぜ一緒に飛び込んだの?結果のことを考えなかったの?」