夕食の後、大谷希真は急いで荷物をまとめて帰っていった。
夏目星澄は伸びをして、少し疲れを感じたので、お風呂に入って早めに寝ようと思った。
霧島冬真は星澄が浴室に入った後、散らばっていた書類を手に取り、仕事を続けた。
夏目星澄が風呂から出てくると、霧島冬真はすでにベッドに横たわっており、彼女のために半分のスペースを空けていた。
「星澄、疲れただろう。早く休もう」
夏目星澄は彼を一瞥したが、何も言わずに別のベッドへ向かった。
冗談じゃない。
意識がはっきりしている状態で、霧島冬真と同じベッドで寝るなんてありえない。
霧島冬真は彼女の態度を見て、突然胸が痛くなった。
入院した時、二人とも意識不明で救急処置を受けていた。
そして目が覚めた時、彼は夏目星澄がまだ目覚めていない間に、医師の反対を押し切って、彼女と同じベッドで寝ることを強く要求したのだ。
今や彼女は意識がはっきりしており、一緒に寝ることを拒否している。
しかし、他の方法がないわけではない。
霧島冬真は立ち上がり、自分のベッドを夏目星澄のベッドの横に寄せ、ぴったりとくっつけて、まるで一緒に寝ているかのようにした。
夏目星澄は背後の物音を聞いて振り返り、霧島冬真の行動を見て一瞬呆然とした。「何をしているの?」
「一人で寝るのが怖いんだ」霧島冬真は幼稚な理由を口にした。
夏目星澄は彼を白い目で見た。三十歳にもなって一人で寝るのが怖いだなんて。
誰が信じるというの!
彼の嘘を暴くのも面倒くさくなった。
体を反対側に向けた。
徐々に病室は静かになっていった。
夏目星澄はどうしても眠れなかった。背中に誰かの視線を感じていた。
でも振り返りたくなかった。
心の中で羊を数えていた時、突然腰に大きな手が優しく触れるのを感じた。
そして男性の温かい息遣いが首筋に触れ、そっと擦れた。
夏目星澄の心臓は急に早く鼓動し始めた。
拒否の言葉は、霧島冬真の体の包帯に触れた瞬間に止まった。
しばらくして、夏目星澄はようやく口を開いた。「霧島冬真、聞きたいことがあるの」
「うん、言って」拒否されなかった霧島冬真は、実は不安でいっぱいだった。星澄が自分の行動を嫌がるのではないかと心配で、声も小さくなっていた。
「あの時、私が落ちた時、なぜ一緒に飛び込んだの?結果のことを考えなかったの?」