第340章 林田瑶子は妊娠した

林田瑶子は腹を押さえながら部屋に戻った。

東條煌真も一時的に仕事を中断し、彼女の世話をするために残った。

彼女の具合が悪そうな様子を見て、心配で仕方がなく、「瑶子、どうしても辛いなら病院に行こうか」と言った。

林田瑶子はまだ妊娠のことを東條煌真にどう伝えればいいか分からず、首を振って、「病院に行く必要はないわ。ベッドで少し横になれば大丈夫。お水を持ってきてくれる？」と言った。

東條煌真はすぐにリビングへ行き、温かい水を一杯持って戻ってきた。

林田瑶子は水を飲んで、少し楽になった気がした。

ベッドで少し休もうと思った時、ドアチャイムが鳴った。

東條煌真がドアを開けると、母親の神田琴江が来ているのを見て、すぐに表情が曇った。「お母さん、何しに来たの！」

「何を言うの、あなたは私の息子じゃない。息子に会いに来るのは当然でしょう」神田琴江は言いながら中に入ろうとした。

東條煌真は依然としてドアの前に立ちはだかり、「母さん、電話をくれれば良いって言ったでしょう。勝手に家に来ないでって」

「電話しても、十回かけてやっと一回繋がるじゃない。それに、これはあなたがお金を出して買った家よ。私はあなたの母親なのに、来てはいけないことなんてないでしょう」神田琴江は力ずくで東條煌真を押しのけて中に入った。

以前は林田瑶子の家に住んでいたから、来させてもらえなかったのは仕方ない。

今度は息子が買った家に住むことになったのだから、もちろん好きな時に来られる。そう言えば、彼女はこの歳になってまだ一度も別荘に住んだことがなかった。

東條煌真は母親が入ってきてしまったのを見て、追い出すわけにもいかないが、林田瑶子が知ったら機嫌を悪くするのではないかと心配だった。

無意識に寝室の方を見やった。

神田琴江は東條煌真を呼んで、「息子、何を見てるの？」と聞いた。

「何でもないよ。母さん、用件があるなら言ってください」

神田琴江はソファに座り、くつろいだ様子で言った。「大したことじゃないわ。あなたが借りてくれたあの家を解約したの。今月で期限が切れるから、来月からは私とお父さんと楽々で、ここであなたと一緒に住むわ」

東條煌真は急に焦った。「解約した？どうして解約したの？うまく住めてたじゃないか。それに、いつ僕が一緒に住むことを承諾したんだ？」