第354章 霧島社長とあなたはどういう関係?

霧島冬真は上位者の威厳を漂わせながら、目の前で少し驚いた様子の男を見つめ、平然とした表情で手を差し出した。「はじめまして、霧島冬真です」

坂口嘉元は数秒間呆然としたのち、応じた。「はじめまして、坂口嘉元と申します。あなたは？」

神田晓良は二人の間の奇妙な雰囲気を見て、緊張のあまり息をするのも怖くなっていた。

夏目星澄はさらに額に手を当てて呆れていた。

彼女は霧島冬真に物音を立てないようにと警告したのに、あえてあんなに大きな音を立てたのだ。

まるで誰かに自分が彼女の寝室にいることを知らせたがっているかのように、しかもあんな姿で出てきた。

誤解されないはずがない。

そう考えると、夏目星澄は歯を食いしばった。きっと彼は故意にやったのだ！

霧島冬真は坂口嘉元の質問を無視し、大股で彼の前を通り過ぎ、親しげな態度で夏目星澄に言った。「さっき服を着替えるとき、うっかりコップを落としてしまったんだ。驚かせなかったかい？」

夏目星澄は彼を睨みつけた。「どう思う？」

しかし霧島冬真は口元を緩めて笑った。「驚かなかったならよかった。友達が来たようだから、邪魔はしないでおくよ。先に帰るから、また今度会いに来るよ」

夏目星澄は霧島冬真の相手をするのも嫌になった。「早く帰って」

霧島冬真は帰る前に、自分が持ってきたアワビのお粥が綺麗に平らげられているのに気付き、夏目星澄の隣にいる神田晓良を一瞥した。「お粥は美味しかった？」

神田晓良は霧島冬真の威圧感に少し怯えながら、「は、はい...とても美味しかったです...」

言い終わってから気付いた。この高級アワビのお粥は、霧島冬真が夏目星澄のために持ってきたものなのに、自分が全部食べてしまったのだ。

霧島冬真は弁償しろと言うつもりなのだろうか？

神田晓良は哀れっぽく夏目星澄を見つめた。「星澄さん...」

夏目星澄は神田晓良の前に立ちはだかった。「お粥は私が彼女に飲ませたの。彼女を脅さないで」

「たかがお粥一杯だよ。君のアシスタントが気に入ったなら、今度は多めに持ってくるさ。ただし、一人で食べないでほしいものだけど」

「申し訳ありません、霧島社長。二度とこのようなことはいたしません」

自分の食い意地の張りようのせいで、食べてはいけないものを食べてしまった。