夏目星澄は休憩時間が来たのを見て、彼とこれ以上時間を無駄にしたくなかった。「用事があるの?ないなら切るわ」
「今日の撮影が何時に終わるか聞きたかっただけだよ。君の大好きな日本料理を持って行こうと思って。さっき空輸でノルウェーサーモンが届いたんだ。とても新鮮だよ」
崖から落ちて以来、夏目星澄と彼の関係は随分と和らいでいた。
少なくとも彼を避けることも、拒絶することもなくなった。
だから彼は勇気を出して彼女の後を追い、復縁を望んでいた。
夏目星澄はもう我慢の限界だった。「何度も言ってるでしょ。私は食事に気を付けて、体重をコントロールしないといけないの。これ以上何も持ってこないで」
彼女には霧島冬真の考えが本当に理解できなかった。
言ったことを一つも覚えていない。
毎日のように運転手に夜食を届けさせる。