霧島冬真は腕が強張り、振り払おうとしたが、より強く掴まれてしまった。
夏目星澄は霧島冬真がまだ逃げようとするのを見て、さらに怒りを募らせた。「いつまで私から逃げ続けるつもり?」
霧島冬真は実際、夏目星澄の手を簡単に振り払うことができたが、力を入れすぎて彼女を傷つけてしまうのを恐れていた。
そのとき、夏目星澄が抱いている子供が大声で泣き出した。「ママ、ママが欲しい、ママ!」
夏目星澄は片手で子供を抱き、もう片手で霧島冬真を離さずに掴んでいた。「まず私について来て、この子のママを探すのを手伝って。」
しかし今、周りは人でいっぱいで、罵声や泣き声が入り乱れ、
警察も対応に追われており、子供を預けて母親を探すどころではなかった。
夏目星澄は状況を見て他の方法を考えるしかなかった。「お名前は何て言うの?ママの電話番号は知ってる?」