第367章 彼にもう一度チャンスをください

霧島峰志は夏目星澄のこの行動に不満を示し、「夏目星澄、あなたは既に私の息子と離婚したことを覚えておいてください。私には彼の居場所を教える義務はありませんし、あなたにはそれを知る権利もありません。邪魔をしないでください」

夏目星澄はすぐに謝意を表した。「少し衝動的な行動だったことは分かっています。もし失礼があったのなら謝罪させていただきます。でも私にも選択肢がなくて、ただ霧島冬真がどこにいるのか知りたかっただけなんです。連絡が取れないので心配で...」

霧島峰志は夏目星澄に良い顔一つ見せようとしなかった。「彼がどうなろうとあなたには関係ありません。自分の立場をわきまえなさい。二度と私の前に姿を現すな。さもないと容赦しませんよ!」

彼女さえいなければ、息子はこんなことには...

しかし、それは言えなかった。これは彼と霧島冬真との約束事だった。

そうでなければ、夏目星澄がこうして彼の前で好き勝手な振る舞いをすることもなかっただろう。

霧島峰志はそう言い終えると、夏目星澄を無視して運転手に車を出すよう指示した。

夏目星澄はただ無力に霧島峰志の車が去っていくのを見つめるしかなかった。

もう霧島冬真を探すべきではないのかもしれない。

彼が会いたくないのなら、世界中を探し回ったとしても、おそらく会うことはできないだろう。

夏目星澄は心を落ち着かせ、自分の車に戻って去っていった。

霧島峰志はその時、水野文香に電話をかけた。「夏目星澄から最近連絡はあったか?」

「いいえ、どうかしましたか?」

「息子のことを聞きに来たんだ。相手にしなかったが、お前も相手にするな。あいつは縁起の悪い女だ!」

「そんな言い方はしないで。星澄も冬真のことを心配しているんです」

「彼女の心配なんか必要ない。彼女さえいなければ、息子はこんな状態にはならなかった。それで、今はどうだ?」

水野文香は霧島冬真の現状を思い出し、思わず声を詰まらせた。「まだ同じです。変化はありません。もしかしたら一生このままかもしれません」

霧島峰志は顔を曇らせた。「M国のスティーブ教授と連絡が取れた。冬真の症例を見てもらったところ、まだ希望はあるそうだ。ただし、向こうで治療を受ける必要がある。冬真に伝えて、早めに行くように」