第370章 永久性の傷跡

この日、霧島冬真の足の抜糸の日が来た。

医者が入ってくると、霧島冬真は傍らにいる夏目星澄に言った。「星澄、朝日亭の骨付きスープが飲みたくなったんだ。買ってきてくれないか?」

夏目星澄は少し不思議に思った。彼は今まで何を食べたいとか言ったことがなかったのに、どうして今日に限ってこんなことを言い出すのだろう?

しかし彼女はスマートフォンを取り出して、「いいわ、デリバリーを頼むわ」と言った。

霧島冬真は付け加えた。「あそこはデリバリーをやってないんだ。店まで行かないと」

注文すれば買えるものなら、わざわざ彼女に言う必要もなかったはずだ。

しかし夏目星澄はここを離れたくなかった。何か必要なことがあったときに、間に合わないかもしれないと心配だった。

でも問題は解決策よりも少ないもの。「大丈夫よ、出前サービスを頼めばいいわ」

霧島冬真は今時そういうサービスがあることを忘れていたが、どうしても夏目星澄をここから離す必要があった。「あそこはVIP予約制だから、出前サービスは入れないんだ。大谷希真が店長と話をつけておいたから、行けばすぐに受け取れる」

夏目星澄はその言葉を聞いて違和感を覚え、反問した。「店長とそんなに親しいなら、直接配達してもらえばいいじゃない。どうして私が行かなきゃいけないの?」

霧島冬真は夏目星澄を説得できないと分かり、本当のことを言うしかなかった。「ただ...ただ君に僕の足の傷を見て怖がってほしくなかっただけなんだ」

夏目星澄は霧島冬真の考えが理解できなかった。「私はもう子供じゃないわ。何だって見たことがあるのに、あなたの足の傷を怖がるなんて。私のことを見くびりすぎよ」

しかし医者が実際に霧島冬真のズボンをめくり、足の恐ろしい傷跡が露わになった時、夏目星澄は思わず息を飲んだ。

霧島冬真の足は当時、骨折しただけでなく、地面の尖った石で長い切り傷を負い、感染を起こしたことで命の危機に陥っていた。

さらに何度も手術を繰り返したため、その傷跡は治りにくくなっていた。まるで歪んで醜い赤褐色の虫のように、恐ろしく怖いものだった。

しかし夏目星澄はすぐに心を落ち着かせ、傷跡を見ることを避けずに言った。「原田先生、ゆっくりお願いします。気をつけて、彼を痛がらせないように」