第384章 夏目星澄の何がそんなにいいのか

花井正道は霧島冬真の言葉に腹を立てていた。

彼は今まで生きてきた中で、誰に会っても一目置かれる存在だったのに、目の前の霧島家の若造は全く敬意を示さない。

しかも、とっくに離婚した女のためだ。

この時、ずっと黙っていた花井風真は自分が悪いと分かっていた。もし彼が夏目星澄をお爺様の誕生日会に無理に連れてこなければ、彼女はこんな目に遭わなかったはずだ。

結局は自分に力がなく、夏目星澄を守れなかったのだ。

そして霧島冬真は現れた瞬間から主導権を握り、お爺様を言葉を失わせた。

この抑圧され、抵抗できない感覚に、彼は窒息しそうになった。

花井風真は分かっていた。霧島冬真がこう言うのは、夏目星澄を庇い、彼女の怒りを晴らすためだ。

そして今の自分にできることは、彼の言葉に従い、自分の尊厳を最低限まで下げて、夏目星澄をより高い位置に立たせることだけだ。