第385章 遺言を残す

霧島冬真は花井正道の言葉に不満を示し、「花井お爺様、そのような発言は聞きたくありませんね。今どき離婚した女性に対してそれほど敵意を持つなんて」

花井正道は心の怒りを抑えながら、霧島冬真との無駄な議論を避けようとした。「霧島社長、私は孫のことを心配しているだけです。人を見る目を誤って、人生を台無しにしないかと」

霧島冬真は軽く笑って、「孫さんのことを心配するのは構いませんが、夏目星澄に関わるのはやめてください。彼女はあなたの家とは何の関係もありません」

「それに忘れないでください。あなたの孫が私の元妻に執着しているんですよ」

花井正道は歯を食いしばった。「だからこそ夏目さんから離れるように諭したいんです。花井家の家訓を守り、離婚経験のある女性とは付き合わない、まして娶ることなど許されません！」

霧島冬真は冷たい声で皮肉を込めて言った。「離婚経験のある女性って、誰を見下しているんですか。はっきり言いますが、夏目星澄は花井家のちっぽけな財産なんて眼中にないですよ」

この言葉は、まるで花井お爺様の喉を掴むかのように、怒りで顔を真っ赤にさせた。

名門の花井家、代々の教養ある家系で、息子は国会議員。地位は霧島家には及ばないものの、少なくとも夏目星澄のような再婚女性よりはずっと上だ。

彼女に何があるというのか。ただの小さな芸能人、人々の娯楽の道具に過ぎない。花井家と比べられる資格など何もない！

花井正道は怒鳴るように言った。「霧島社長、そこまで言うのは行き過ぎではないですか！」

花井お爺様の怒りを見て、霧島冬真は内心喜び、笑みを浮かべながら言った。「何か、私の言葉に間違いでもありましたか？夏目星澄の現在の価値が、ここにいる誰よりも高いことをご存じないんですか？」

霧島冬真の言葉に、他の人々は首を傾げた。

夏目星澄は普通の出身の女性で、離婚歴があり、今は多少名の知れた女優とはいえ、せいぜい数千万円の価値だろう。

しかし、今日ここに集まっている人々は、ほとんどが名門で、数十億円の資産は当たり前だ。

夏目星澄がそれに比べられるはずがない。

夏目星澄も霧島冬真が大げさに言い過ぎていると感じた。今の収入は確かに良いものの、目の前の名門家族と比べれば、まだまだ差があった。