第386章 心が汚れていれば、見るものすべてが汚く見える

花井お爺様は怒りを抑えきれなかったが、一時的にどう反論すればいいのか分からなかった。

突然、彼の後ろから鋭い声が聞こえてきた。「霧島社長、あなたは夏目星澄に騙されているんです。彼女はあなたのそんな優しさに値しない人です。」

「私は芸能界に多くの知り合いがいて、みんな言っていました。この業界で成功するには、暗黙のルールに従わなければならないって。つまり、あちこちで男性を誘惑して、自分の地位を固めることです。」

「彼女はただの歌手だったのに、突然女優に転向して、しかも最初から大作仙侠ドラマの女二号を演じることになった。これは多くの人が望んでも手に入れられない機会なのに、彼女はどうしてすぐに手に入れられたのか。きっと監督やプロデューサーと寝たんでしょう。だから、あなたが彼女にそんなに尽くすのは無駄なんです！」

芦原蘭は霧島冬真が夏目星澄にあんなに心を尽くしているのを見て、嫉妬で胸が張り裂けそうだった。

なぜ離婚歴があって芸能界で這いずり回っているような下賤な女が、そんなに多くの男性に大切にされるのか。

従兄もそうだし、霧島冬真もそう。

きっと彼らは夏目星澄の本性を見抜けていないのだ。今日こそ、みんなの前で夏目星澄の正体を暴いてやる！

花井風真は信じられない様子で芦原蘭を見つめた。彼女はまだこんな荒唐無稽な発言をする勇気があるとは！

彼女にはまだ分かっていないのか、霧島冬真がどれほど夏目星澄を大切にしているか。

お爺様でさえもう何も言えないというのに。

芦原蘭という馬鹿者は、まさに死に急いでいるようなものだ。

案の定、次の瞬間、霧島冬真の表情が一気に険しくなった。「またお前か。本当に熊の心でも食ったのか、私の目の前で夏目星澄を中傷するとは。死に場所を知らない奴め！」

芦原蘭は驚愕の表情で目を見開いた。霧島冬真がどうしてこんな風に彼女を責めるのか、彼女は全て霧島冬真のためを思ってのことなのに！

夏目星澄もうんざりしていた。もう事態が収束しかけていたのに、芦原蘭がまた現れて騒ぎを起こす。これは自殺行為と何が違うのか。

花井正道も芦原蘭のような愚かな人間に胸を痛めていた。

どうしてこんな分別のない孫娘がいるのか分からない。何度も何度も自分の顔に泥を塗りやがって！

「この馬鹿者め、お前にここで物を言う資格があるのか。早く霧島社長に謝罪しろ。」