第三百九十二章 実の両親との出会い
夏目星澄は携帯を手に、不思議そうに霧島冬真を見つめた。「どうして急に誰から電話がかかってきたのか気になるの?」
霧島冬真は軽く咳払いをして、「別に、ただ気になっただけだ」
夏目星澄には何が気になるのかよく分からなかったが、それでも彼に見せた。「瑶子からの電話よ」
霧島冬真は目を上げて確認すると、確かに林田瑶子の名前だったので、やっと安心した。
花井風真は彼の言葉を聞き入れたようだ。
夏目星澄は霧島冬真のことは気にせず、外に出て電話に出た。「瑶子...」
林田瑶子は電話の向こうで焦りながら言った。「星澄、どうしてこんなに遅く電話に出たの?何かあったのかと心配したわ」
「大丈夫よ、元気だから。さっき外出してて携帯を持ってなかったの。今気づいたところ。どうしたの?」
林田瑶子はほっとすると同時に、文句を言わずにはいられなかった。「よかった。昨日あなたが花井家に行った後の出来事を今日聞いたわ。あの花井お爺様って本当に頑固な古い考えの人ね。離婚した女性を見下すなんて」
「離婚した女性がどうしたっていうの。彼の家のお米を食べたわけでもないのに、余計なお世話よ。これがダメ、あれがダメって。誰があの家に嫁ぐなんて、それこそ大変な目に遭うわよ!」
夏目星澄は軽く笑った。昨日林田瑶子が一緒に行かなくてよかった。もし行っていたら、霧島冬真が出る幕もなく、彼女一人であの花井お爺様を半死半生にさせていたかもしれない。
「もういいわ、瑶子。もう過ぎたことだから、怒らないで」
「こんなことになるって分かっていたら、絶対に行かせなかったわ。それに花井風真はどうなの?彼が招待しておきながら、あんな目に遭わせて、結局霧島冬真に助けを求めることになるなんて」
林田瑶子は、霧島冬真が来てからの夏目星澄への庇護を思い出した。
やはり誰も彼には及ばないわね、大切な人を守る面では。
夏目星澄は花井風真を責めるつもりはなかった。「風真君には彼なりの事情があるの。彼を責めることはできないわ。それに彼もお爺様に騙されていたのよ。そうでなければ私を呼ぶことはなかったはず」
林田瑶子は口を尖らせた。「実は、あなたが離婚した直後は花井風真のことを良く思っていたの。でも今となっては、霧島冬真の方がましね」
本当に比べてみないと分からないものね。