第404章 一家全員が彼女を利用しようとしている

夏目星澄は彼の無礼な呼び方に眉をひそめ、「私には名前があります。夏目星澄です」と言った。

田中貴則は星澄を上から下まで見回して、命令するように言った。「お前の父親から聞いたが、大都会で働いていて、月にかなりの稼ぎがあるそうだな。今は家に戻ってきたんだから、稼いだ金を両親に預けろ。無駄遣いされては困る」

金という言葉を聞いた途端、全員の目が輝き始め、星澄を見る目つきは肥えた肉を見るかのようだった。

星澄は彼らの視線に吐き気を覚えた。

彼女は彼らから親愛の情を期待してはいなかったが、会うなり金の話を切り出すとは思わなかった。

田中雨生が義理の妹と関係を持ち、人倫に背いたのも無理はない。

そもそも根本から腐っていたのだ!

その時、田中貴則の隣にいた白髪交じりで顔色の悪い老婆も同調して言った。「そうよ、あなたは女の子なんだから、お金を持っていても仕方がない。もし誰かに騙されでもしたらどうするの?お父さんに預けて、管理してもらって、必要な時に言えばいいじゃない」

星澄は冷たい表情で即座に断った。「申し訳ありませんが、期待に沿えません。確かに大都会での給料はこちらより多いですが、支出も多いので、貯金はほとんどありません。生活費程度しかありません」

田中太郎は松岡芝乃に食べさせてもらいながら、ぶつぶつと文句を言った。「ふん、誰が信じるものか。単に渡したくないだけだろ!」

松岡芝乃は太郎が不機嫌になったのを見て、星澄を責め始めた。「星澄、昨日はお母さんの治療費に使うって言ってたじゃない。今日になって急にお金がないなんて、私たちを騙してるんじゃないの?」

星澄は冷笑して言った。「そうよ、あのお金はお母さんの治療費よ。寝たきりの患者のお金まで奪おうとするなんて、だからお母さんの病気が何年経っても良くならないのね。こんなに道徳心のない人たちだったなんて」

田中貴則の顔色が険しくなった。「この生意気な小娘が何を言い散らしているんだ。私とお前の祖母が親切心で助言してやってるのに、道徳心がないなどと。やはり自分で育てた子じゃないとダメだな、恩知らずめ!」

親切心なんてどこにもない、打算的な考えが顔に出すぎている。