第409章 二重の喜び

夏目星澄は母親の看病をしながら、霧島冬真の見舞いにも行っていた。

一週間以上も両方を行き来していた。

人はすでに疲れて痩せていた。

松岡静香は夏目星澄が仕事で忙しいと思い、毎日来なくても看護師がいるから大丈夫だと心配して言った。

しかし夏目星澄は、やっと見つけた実の母親だから毎日会いたいと思っていた。

一方、霧島冬真の方も気がかりで、彼は言うことを聞かない人だった。

彼女がいる時はまだ良かった。何をさせても従うが、彼女がいない時は誰が何を言っても聞かず、検査もせず、薬も時間通りに飲まず、まるで拗ねた子供のようだった。

だから彼女は自分が少し疲れても構わないと思っていた。

霧島冬真も同様に夏目星澄を心配していて、彼女が再び病室に現れた時、名残惜しかったが、「この数日間で疲れて痩せたようだね。僕の方は大丈夫だから、まずは母親の看病に専念して、手術が終わってから来てくれればいい」と言った。

「ちょうど私も言おうと思っていたの。母が明日手術なの。付き添わないといけないから、しばらく会いに来られなくなるわ。」

夏目星澄はどう切り出そうか迷っていたところ、霧島冬真が先に言い出してくれて、ほっとした。

霧島冬真は理解を示して「うん、大丈夫だよ。母親の健康が大事だから」と言った。

夏目星澄は複雑な眼差しで彼を見つめ、「あなたの健康も同じように大切よ。前に約束したでしょう。回復するまでずっと付き添うって。約束は破らないわ。でも今は特別な状況で、あなたが理解してくれて嬉しいわ」と言った。

「母の具合が良くなったら、家に連れて帰って、家政婦さんを雇って、また来るわ。安心して、見捨てたりしないから」

「分かってる」霧島冬真はそれだけの言葉で十分満足だった。

松岡静香の手術はその日の午前中に予定されていた。

手術は五時間以上かかってようやく終わった。

夏目星澄は終始心配で、中で何か問題が起きないかと気が気ではなかった。

幸い大谷課長の医術は素晴らしく、手術は順調に進んだ。

「安心してください。手術は成功しました。すぐに母親は体を動かせるようになりますよ」

夏目星澄は感激して「ありがとうございます、大谷課長、本当にありがとうございます!」と感謝の意を表した。