大谷希真は一目で目の前の人が映画監督の中村英二だと分かり、焦った声で尋ねた。「監督、夏目星澄はここにいますか?」
中村英二は緊張した表情になり、「君は夏目星澄とどういう関係なんだ?なぜここで彼女を探しているんだ?」
大谷希真が説明しようとした瞬間、目の前のドアが蹴り開けられた。「くだらねぇことは言うな。夏目星澄はどこだ?」
中村英二はドアと一緒に床に倒れ込んだ。「痛い、腰が!」
霧島冬真は直接中に入り込み、夏目星澄を探し始めた。
すぐに、浴室で全身が熱く、意識が朦朧としている夏目星澄を見つけた。
霧島冬真は即座に星澄を抱きしめ、頬を軽く叩きながら彼女の名前を呼んだ。「星澄、目を覚ませ、星澄、俺だ、来たぞ!」
夏目星澄はすでに意識が朦朧として、霧島冬真の声さえ聞き分けられなかった。
ただ誰かが自分に話しかけているのだけは分かった。
彼女はとても苦しく、体の中で火が燃えているようだった!
霧島冬真は這い上がったばかりの中村英二を凶暴な目つきで睨みつけた。「よくも俺の女に手を出したな、死にたいのか!」
中村英二は自分が冤罪だと感じた。「違う、私が戻ってきた時には、彼女はすでに私の部屋のベッドに横たわっていたんです。何が起きたのか全く分かりません。」
「それに彼女の様子は明らかに薬を盛られたようです。早く病院に連れて行った方がいいでしょう。」
霧島冬真は星澄が薬を盛られたと聞いて、全身の神経が緊張した。
「大谷、こいつを見張っておけ。お前は俺と一緒に星澄を病院に連れて行く。」
霧島冬真は言い終わると星澄を浴室から抱き出し、上着で彼女の顔を覆い、ホテルを飛び出した。
大谷希真が運転し、霧島冬真は星澄を抱きかかえて後部座席に座った。星澄の体内の薬効はすでに始まっていた。
全身がまるで火傷のように熱く、痒かった。
夏目星澄は苦しく、無意識に体をよじらせた。
霧島冬真は彼女をしっかりと抱きしめ、窓を全開にして冷たい風を入れ、体温を下げようとした。
ようやく30分後に病院に到着した。
しかし夏目星澄のこの状態は病院でも対処できず、薬効はすでに発揮されており、彼女の苦しみを和らげるには、男性と…
霧島冬真は医者からそのような回答を聞いて、顔色が一気に暗くなった。