第436章 記者会見

霧島冬真も後ろの音を聞いて、振り返った瞬間、バイクが突っ込んできていた。

彼は急いで夏目星澄の手を引いて外へ逃げ出した。

しかし、二人ではバイクの速さには及ばなかった。

衝突寸前、霧島冬真は避けられないと悟り、夏目星澄を突き飛ばして彼女の安全を確保しようとした。

だが夏目星澄に強く引き止められ、「だめ、冬真、そんなことしないで」

彼は既に彼女を救うために一度死にかけていた。

今度は絶対に事故に遭わせるわけにはいかない!

夏目星澄は逆に霧島冬真を突き飛ばした。

これは霧島冬真が予想していなかったことだった。

しかし気付いた時には既に遅かった。

「星澄、やめろ!」

この光景を目にした人々は皆、思わず息を呑んだ。

女性ファンたちも驚愕して口を押さえた。

彼女たちは夏目星澄が嫌いで、浩真さんに謝罪させ、芸能界から追放したかっただけだった。

命を奪うようなことは考えてもいなかった。

それは刑務所行きになるのだ!

夏目星澄は目を閉じ、はね飛ばされると思った。

しかししばらく経っても、体に痛みは全く感じず、代わりに大きな音が聞こえた。

目を開けてみると。

そのバイクは既に大谷希真の車に弾き飛ばされていた。

彼女は無事だった。

次の瞬間、彼女は再び馴染みの腕の中に抱きしめられた。「星澄、大丈夫か?」

夏目星澄は首を振って、「私は大丈夫、あなたは?」

霧島冬真の深い瞳は心配に満ちていた。「俺も大丈夫だ。でも、なんてバカなことをしたんだ。俺を突き飛ばして、お前はどうするつもりだった」

夏目星澄も同じように心配そうに彼を見つめた。「あなただって同じでしょ!」

この時、車から這い出してきた大谷希真は泣きそうな顔をしていた。

誰も彼のことを心配してくれないのか?

幸い警察が現場にいて、すぐに出動してバイクの運転手を捕まえ、救急車も呼んで大谷希真を病院に搬送した。

残りのファンたちも全員警察署に連行され、一斉に事情聴取を受けた。

ファンの暴動は何とか収まった。

夏目星澄は先に帰宅して休むよう言われた。

体についた臭いがひどくて、長時間かけてやっとその不快な臭いを取り除くことができた。

彼女が出てきた時、林田瑶子は既に階下で目を真っ赤に泣いていた。