夏目星澄は母親の目の中にある心配を見抜いたようで、微笑みながら言った。「お母さん、安心して。私が霧島冬真と結婚していた時期は、彼の家族は皆私に良くしてくれたわ。私たちは感情的な問題で離婚しただけなの」
「でも今は過去のことは全て過ぎ去って、私たちは仲直りもできたわ」
松岡静香は事情の詳細は知らなかったが、夏目星澄が幸せならそれを支持するつもりだった。
「もういいわ、この話は。お母さん、部屋を見に行きましょう」
夏目星澄はここに3、4年住んでいたので、慣れた様子で母親を客室へ案内した。
中村おばさんが部屋の掃除をしていたが、後ろの声を聞いて振り返ると、夏目星澄を見て興奮気味に声を上げた。「若奥様、お帰りなさいませ!」
「ええ、中村おばさん。こちらが私の母です。しばらくここに滞在することになりますので、よろしくお願いします」