西原妙子もこのことを後でネットで知ることになった。
彼女はすぐに芹香さんに電話をかけた。「芹香さん、どうなってるの?なぜネット上に中村監督と夏目星澄が一緒にいる写真が出回っているの?それにホテルの出入りまで。これ、あなたがやったの?」
このことを知っているのは彼女と芹香さんだけで、ホテルの件も芹香さんが一手に企画したものだった。そんな写真を撮れる人は彼女以外にいないはずだった。
芹香さんは向こう側で平然とした様子で言った。「これも全部あなたのためよ。妙子、私たちはあんなに長く計画を立てたのに、全然効果がないじゃない。」
「夏目星澄が撮影現場から追い出されないと、あなたは彼女の脇役のままよ。これからは誰もあなたを主役に起用してくれないし、CMの仕事だってランクが下がるわ。私がこうするしかなかったのよ!」
西原妙子は急に焦り出した。「でも監督まで巻き込んで、撮影できなくなったら、私が主役になっても意味ないじゃない。」
芹香さんは説明した。「落ち着いて、聞いて。中村監督は確かに才能があって、作品も悪くないわ。でも彼は言うことを聞かなさすぎる。映画に商業広告を入れたいだけなのに、彼は絶対に同意しないの。」
「それで広告主たちの怒りを買って、プロデューサーも彼に不満を持っているの。彼をこの映画から外して、別の監督に変えたがってる。私はただそれに乗っかっただけよ。」
「監督が変わって良い作品が撮れるの?この映画は海外の映画祭に出品する予定だったのよ。私はこの作品でハリウッドを目指していたのに、今こんなことをして、賞が取れるの?」
芹香さんは長いため息をついた。「妙子、あなたも芸能界にいる時間は短くないでしょう。受賞なんて、結局は資本家の一言で決まることよ。妙子、私たちは今同じ船に乗っているのよ。何を言っていいか、何を言ってはいけないか、分かっているはずでしょう。絶対に愚かなことはしないでね。」
西原妙子は急に黙り込んだ。
芹香さんの言う通りだった。夏目星澄の件には彼女も加担していて、独り善がりはできない。今の彼女にできることは、ただ芹香さんの指示に従うことだけだった。
「分かりました、芹香さん。これからはあなたの言う通りにします。」
「そうそう、それでいいの。家で良い知らせを待っていてね。」
その一方で、ネット上の騒動は更に激しくなっていった。