第440話 関係を公表する

人々は全国一の富豪と聞いて、すべてのカメラが一斉に霧島冬真に向けられた。

誰もが簡単には会えない伝説の大物だ！

一瞬のうちにフラッシュが絶え間なく光った。

以前の霧島冬真は、許可なく写真やビデオを撮られることを最も嫌っていた。

しかし今日は夏目星澄のために、もうどうでもよくなっていた。

霧島冬真は足を止め、厳かにすべてのカメラに向かって言った。「私は夏目星澄の婚約者です。」

霧島冬真が夏目星澄の婚約者だと！

記者たちは一様に驚きのあまり口が閉じられなかった。

彼らが質問する前に、霧島冬真はすでに夏目星澄に向かって歩き出し、彼女を抱き寄せた。

夏目星澄は驚いた表情で霧島冬真を見つめた。

高橋浩真の噂の証拠を見つけて、持ってくるはずだったのに。

なぜ彼自身が来て、しかも二人の関係を公にしたのか。

夏目星澄は表面上は冷静を保ちながらも、極めて小さな声で彼の耳元で尋ねた。「なぜ来たの？」

霧島冬真は当然のように答えた。「証拠として来たんだ。」

夏目星澄は言葉を失った。これがどういう証拠になるというのか。

それに、いつ彼の婚約者になることを承諾したというのか。

しかし今、これだけ多くの目が見ている中で、その場で否定するわけにもいかなかった。

すべての記者が二人の関係が本当なのかと疑問を投げかけている時。

霧島冬真は突然頭を下げ、優しい表情で夏目星澄の額にキスをした。

「ごめん、星澄。遅くなって、君を苦しませてしまった。もう誤解されたくない。公表しよう。」

夏目星澄は実際にはそれほど苦しんでいなかったが、ただ高橋浩真の行為に腹が立っていただけだった。

そもそもこれは彼女自身の問題で、彼が今立ち上がれば、必ず噂の的になるだろう。

彼や彼の会社の評判にも影響があるはずだ。

夏目星澄は彼を巻き込みたくなかった。

彼女は彼の手を掴んで、遮ろうとした。「霧島冬真、やめて...」

霧島冬真は彼女に安心させるような微笑みを向け、その後星のように輝くフラッシュに向かって、微笑みながら宣言した。「ご覧の通り、私と星澄は恋愛中です。彼女は私の婚約者で、近々結婚する予定です。その時は皆様をご招待させていただきます。」

この言葉に、全員が唖然とした。