第447章 一晩中ひざまずいて

大谷希真は長いため息をついた。「この件については長い話になりますが、夏目さん、私がお迎えに行きますので、直接お話しさせていただきましょう。」

夏目星澄は胸が沈んだ。霧島冬真は何か彼女に隠していることがあるのだろうか?

30分後、大谷希真は夏目星澄のマンションの下まで迎えに来た。

夏目星澄は車のドアを開けて乗り込むと、すぐに尋ねた。「大谷補佐、早く教えてください。霧島冬真とお寺にはどんな関係があるのですか?」

大谷希真はバックミラーを通して夏目星澄を見つめ、重い口調で言った。「この話は、あなたが最初のお子様を亡くされた時からです...」

夏目星澄はその子のことを思い出すと、さらに胸が痛んだ。

彼女には、その子と霧島冬真がお寺に行くことにどんな関係があるのか理解できなかった。

「実は、あの時あなたが手術で子供を失った時、霧島社長も一時精神的に崩壊しかけましたが、自分が倒れるわけにはいかない、あなたのそばにいなければならないと分かっていました。」

「その後、本来なら病院が処理するはずだった赤ちゃんを、霧島社長は可哀想に思い、引き取って墓地に送り、安らかに眠らせようとしました。」

「あなたが回復して退院した時、霧島社長は赤ちゃんを墓地に送ったことを話すつもりでしたが、その時のあなたは彼を拒絶していたので、この件は隠すことにしました。」

「その後、どこで聞いたのか、生まれることのできなかった子供の位牌をお寺に供養すれば、その子の魂が神様の加護を受け、幸せな家庭に生まれ変わることができると聞き、霧島社長は霊清寺に向かったのです。」

夏目星澄は大谷希真の話を聞き終えると、何とも言えない喪失感を覚えた。

霧島冬真が彼女の知らないところで、その子のためにこれほど多くのことを静かに行っていたとは。

約1時間後、彼らはついに霊清寺の門前に到着した。

大谷希真の車が停まるや否や、彼がドアを開けようとする前に、夏目星澄は急いで自分でドアを開けた。

「私が上がって彼を探してきます。ここで待っていてください。」

夏目星澄は千段以上の階段を上り切ってようやく到着した。

目の前のお寺の門は固く閉ざされていた。

夏目星澄は門環を掴んで力強くノックした。