第448章 夫婦喧嘩は犬も食わない

霧島冬真は苦笑いを浮かべ、「星澄、僕は馬鹿じゃない。ただ、君と子供を失うのが怖すぎたんだ」

「じゃあ、あとどのくらい土下座するつもり?」

霧島冬真は首を振った。彼自身もどのくらい跪くべきかわからなかった......

夏目星澄は複雑な表情で彼を見つめた後、彼の隣に跪いた。

「いつまでかわからないなら、一緒に跪くわ」

霧島冬真は夏目星澄にそんな辛い思いをさせたくなかった。顔色が一瞬で青ざめ、「ダメだ、星澄。君は跪いてはいけない。妊娠中なんだ、体に良くない」

しかし夏目星澄は男の手を振り払った。「あなたの足があんな状態なのに、私が妊娠してるくらい大したことないわ。跪くなら一緒よ。だって子供はあなた一人のものじゃないでしょう。仏様に子供の加護を願うなら、私も母親として跪かなきゃ」

霧島冬真は夏目星澄の体を本当に心配していたが、結局は彼女に負けてしまい、ゆっくりと立ち上がった。「わかった。言う通りにする。もう跪くのはやめる。早く立って」

しかし、彼は長時間跪いていたため、両足は完全に痺れていた。立ち上がってすぐに、足の力が抜けて再び座り込んでしまった。

夏目星澄は彼を支えながら、涙がポロポロと頬を伝い落ちた。「あなたったら、足に負担をかけちゃいけないって分かってるのに、無理するんだから。それに私だってあの子の母親なのに、どうして祈りに来ることを教えてくれなかったの?」

霧島冬真は夏目星澄の涙を見て胸が張り裂けそうになった。彼は彼女の涙を拭いながら、優しく慰めた。「ごめん、僕が悪かった。もう二度とこんなことはしない。泣かないで、お願いだから」

夏目星澄は非難するように彼を睨んだ。「本当に私と子供たちのことを考えているなら、自分の体を粗末にしちゃダメよ。今の状態まで回復できたのがどれだけ大変だったか、あなたが一番分かってるでしょう。もし何か問題が起きたら、どうするつもり?」

霧島冬真は夏目星澄をしっかりと抱きしめ、心の中に抑え込んでいた感情が突然解放された。「そうだね、君の言う通りだ」

しばらくして、霧島冬真の足はようやく回復してきた。

しかし、歩くのはまだ少し困難だった。

二人が帰ろうとした時、あの若い僧侶が再び現れた。「お二人様、少々お待ちください。住職がお話があるとのことで、私についてきていただけますでしょうか」