夏目星澄は彼を怒ったように見て、「何のお礼よ。大したことしてないわ。そうそう、大谷さんが会社から急ぎの書類を持ってきたわ。見る?」と言った。
「ああ、持ってきてくれないか」
「うん、ちょっと待って。先にベッドを起こすわ」
夏目星澄は書類を霧島冬真に渡した。
霧島冬真は機嫌が良く、書類に目を通すのも早かった。1時間もかからずに全て処理を終え、大谷希真に取りに来るようメッセージを送った。
携帯を置いた時、夏目星澄がうとうとし始めていることに気付いた。
きっと自分の看病で、ゆっくり休めていないのだろう。
彼が起き上がって、彼女をベッドで寝かせようとした時。
夏目星澄は目を覚まし、霧島冬真が布団をめくって降りようとする様子を見て、慌てて止めた。「何をするの?言ってくれれば私がやるわ」