夏目星澄は彼の背中にもたれかかり、囁いた。「お腹すいた...火鍋が食べたいな...」
霧島冬真は優しく笑って言った。「お腹が空いたの?大丈夫、何が食べたい?」
夏目星澄は夜食を食べる習慣はなかったが、妊娠のせいか、胃の中が空っぽな感じがして仕方なかった。「火鍋が食べたいの」
「いいよ、届けてもらおう」霧島冬真は体を起こし、傍らの携帯を手に取り、火鍋店を検索し始めた。
夏目星澄の体調を考慮して、特に白湯スープを指定し、調味料もオリジナル味にした。
夜の12時、火鍋が届いた。
夏目星澄は白湯スープを見て、少し残念そうだった。「どうして麻辣鍋を頼んでくれなかったの?」
霧島冬真は包装を開けながら説明した。「今のあなたの体調では辛すぎるものは食べられないから、白湯で我慢してね」
夏目星澄もそれはもっともだと思い、それ以上何も言わなかった。
火鍋が沸騰し、野菜とラム肉を入れると、香ばしい匂いが立ち込めた。
味にこだわらず、タレをつけて口に運んだ。
瞬時に満足感に包まれた。
食べたいものをいつでも食べられるって、本当に幸せだ。
夏目星澄はしばらく食べてから、霧島冬真が全く箸をつけていないことに気づいた。「あなたも食べてよ」
霧島冬真は彼女が楽しそうに食べる様子を見て、自分も嬉しくなった。「僕はお腹すいてないから、君が食べて」
夏目星澄は自分のペースで食べ続けた。以前はそれほど食べられる方ではなかったのに、あっという間に肉も野菜もほとんど平らげてしまった。
霧島冬真はその様子を見て、少し心配になった。「星澄、そんなに食べて大丈夫?胃は痛くない?」
夏目星澄は首を振った。「大丈夫よ、お腹いっぱいだけど、むしろ気持ちいいくらい。妊娠してるから食欲が特別旺盛なのかも」
霧島冬真はほっと息をついた。「それならいいけど、食べられないで苦しむよりはずっといい」
夏目星澄は食事を終え、気分もすっきりした。「うん、じゃあ歯を磨いてくるわ」
霧島冬真は立ち上がってテーブルの片付けを始めた。
夏目星澄が歯を磨いて戻ってくると、彼女が食べた後の物は既にきれいに片付けられていた。時間も遅いので早く寝ようと思った。
「じゃあ寝ましょう」