夏目星澄は霧島冬真の言葉を聞いて、明らかに驚いた。「彼女がどう異常なの?考えすぎじゃない?」
彼女は高梨菜々が他人であり、恨みも怨みもないのに、むしろ自分を助けてくれたのだから、どう考えても問題はないはずだと思った。
霧島冬真は眉をしかめた。「あの女性には何か違和感がある。それに、彼女が私に近づこうとしているのに気付いていないのか?」
夏目星澄は軽く笑った。「霧島社長の魅力はわかるけど、高梨菜々は母親なのよ。きっと彼女とパートナーには何か事情があって別れたんでしょう。あなたに気があるなんてことはないわ」
霧島冬真も自分が考えすぎであることを願っていたが、万が一を考えないわけにはいかなかった。「彼女の考えがどうであれ、今回助けたのは十分な善意だ。一生面倒を見続けるわけにはいかない」