第476章 妻帯者の自己修養

夏目星澄と霧島冬真は話をしていた。

高梨菜々も黙ってはいなかった。彼女は夏目星澄のすべてを妬んでいたが、今は彼女に何もできなかった。

最後に、クローゼットの中にある美しく贅沢なバッグやジュエリーに目を向けた。

夏目星澄が話している間に、こっそりと中に入り、ダイヤモンドのピアスを一組手の中に握りしめた。

高梨菜々は最初、一番大きなダイヤモンドのネックレスを持ち去ろうと思ったが、あまりにも目立ちすぎて夏目星澄に気付かれそうだったので、横にある目立たないダイヤモンドのピアスを取った。

箱一杯にピアスが入っていたので、一組なくなっても気付かれないだろう。

夏目星澄と霧島冬真の会話がほぼ終わったころ、高梨菜々のことを思い出し、振り向いて手を差し伸べ、もう帰っていいと合図した。