アンナは霧島冬真を追いかけようと立ち上がったが、緒方諒真に止められた。「美しいアンナさん、私のことを好きでなくても構いませんが、あなたが言う霧島さんは、あなたに興味がないんですよ」
アンナは目の前で彼女を遮った人物に不満そうな表情を浮かべた。「どうして?」
彼女は自分の容姿には自信があったし、扱いにくい男性に出会ったことがないわけではなかった。
しかし、彼女の極限の誘惑の下では、すぐに成功していた。
アンナは霧島冬真も同じだと思っていた。
緒方諒真はグラスを持ち上げ、口元に笑みを浮かべた。「簡単な話です。彼には奥さんがいるんです」
アンナは霧島冬真に何か特別なことがあるのかと思っていたが、ただ結婚しているだけと聞いて、何でもないように笑った。「私がそんなことを気にすると思う?」