霧島雪栄は目的もなく街をさまよっていた。
あちこちに飾り付けられた華やかで喜びに満ちた街の景色を見ながらも、心の中は悲しみに包まれていた。
他の人々は家族と共に楽しく過ごしているのに、彼女はただ一人で街をさまよい歩くしかなかった。
ふと目をやると、広場の大型スクリーンに霧島グループの新年広告が流れているのが見えた。
多くの人々がその光景に引き寄せられ、広場に足を止めていた。
「見て、霧島グループの広告だよ。毎年ここで広告を流しているよね。一度に1時間以上も流すんだよ。この大型スクリーンの広告料は秒単位で計算されるって聞いたけど、霧島グループはほんとにお金持ちだね!」
「もちろんお金持ちさ。あれは長者番付トップの会社だよ。広告を出すなんて遊びみたいなものさ!」
「霧島家の方々は一人一人がすごくお金持ちなんだろうね。もし私があんな家に生まれていたら、きっと幸せで死んじゃうよ!」