小山千恵子がまた第一病院に行ったと聞いて、桜井美月は最初、気にも留めなかった。
血液科の人々は、すでに彼女の支配下にあった。
言うことを聞かない横山先生も、とっくに海外に追いやられていた。
白野部長から電話がかかってきて初めて、千葉家の次男の庇護の下、小山千恵子があんなに大がかりな態勢で来ていることを知った。
「桜井さん、彼らは単に機器を借りに来ただけで、病院と直接調整したんです。私にも介入できません」
白野部長が撮った写真を開くと、桜井美月の心は宙づりになった。
以前の小山千恵子は、彼女の圧迫に逆らわず従い、ただ岩崎さんの愛を取り戻すことだけを考えていた。
今の彼女は、きっと反撃に出るつもりだ。
しかも、千葉家の次男が後ろ盾についている。
桜井美月の目に凶光が走った。絶対に手をこまねいているわけにはいかない!