第22章 私は岩崎さんと結婚できます

病院の入り口は人だかりで騒がしく、通常の交通を妨げていた。

小山千恵子は藤原晴子を掴んで、早く車に乗って離れようとした。

しかし、増え続けるアンチファンとパパラッチに阻まれ、身動きが取れなかった。

病院の警備員が現場に駆けつけたが、すぐには対処できなかった。

「説明しろ、さもないと今日は帰れないぞ!」

「黙って病気のふりか?聾唖者になったのか?」

藤原晴子は、さすがプロのアンチファンだと思った。一言一言が小山千恵子を罠に陥れようとしていた。

浅野武樹の黒いカレンが第一病院に到着したが、入り口は人で溢れていた。

寺田通は一瞥して言った。「社長、車は入れません。先に人を中に入れましょう。」

浅野武樹は黙って後部座席に座り、窓ガラス越しに見つめていた。

漆黒の瞳孔が収縮し、群衆の中のあの青白い顔を見つけた。

小山千恵子は腕を抱えて身を守り、周りのパパラッチのレコーダーが彼女の顔に迫っていた。

病気で弱っているように見え、歩くのも不安定だった。

彼女は昔から痛みに弱く、病院にも行きたがらなかった。

最近会うたびに、ほとんどの場合、病気を患っているようだった。

浅野武樹の心は複雑な思いで一杯で、心が見えない手でゆっくりと締め付けられるようだった。

突然、十数人のボディーガードが遠くから集まってきて、素早く群衆を押しのけ、空間を確保した。

藤原晴子は小山千恵子を抱えて急いで車に向かった。

寺田通は自分の目を疑った。

ボディーガードを入れたばかりなのに?まだ車から降りていないのに。

これらの人々は……

「私の部下ではない。」

浅野武樹は心を読むかのように、声を冷たくして、膝の上の手を拳に握りしめた。

考えるまでもなく、きっと千葉家の人間だ。

彼が急いで来る必要もなく、すでに誰かが後ろで護衛を待っていたようだ。

浅野武樹の目から優しさが消え去った。

彼は少し窓を下げ、冷たい視線で小山千恵子を追った。

藤原晴子のジープラングラーは近くに停まっていたが、車が高すぎて、小山千恵子は苦労して乗り込んだ。

浅野武樹は彼女の腕の青あざと、足首の新しい包帯に気づいた。

彼女は一体どうしたのだろう?

なぜいつも体に怪我をしているのだろう。