第22章 私は岩崎さんと結婚できます

病院の入り口は人だかりで騒がしく、通常の交通を妨げていた。

小山千恵子は藤原晴子を掴んで、早く車に乗って離れようとした。

しかし、増え続けるアンチファンとパパラッチに阻まれ、身動きが取れなかった。

病院の警備員が現場に駆けつけたが、すぐには対処できなかった。

「説明しろ、さもないと今日は帰れないぞ!」

「黙って病気のふりか?聾唖者になったのか?」

藤原晴子は、さすがプロのアンチファンだと思った。一言一言が小山千恵子を罠に陥れようとしていた。

浅野武樹の黒いカレンが第一病院に到着したが、入り口は人で溢れていた。

寺田通は一瞥して言った。「社長、車は入れません。先に人を中に入れましょう。」

浅野武樹は黙って後部座席に座り、窓ガラス越しに見つめていた。

漆黒の瞳孔が収縮し、群衆の中のあの青白い顔を見つけた。