小山千恵子は口を開いた。「あのバラエティ番組『新入生』のことですか?」
藤原晴子は口角を上げた。「そう、同じことを考えていたのね」
小山千恵子は両手を握りしめ、うつむいて考え込んだ。
『新入生』はデザイナーのためのバラエティ番組で、デザイナーとタレントをマッチングさせることで、デザインの発想や演技の幅を広げるものだった。
彼女がサンダースとしての身分を公表した直後、ディレクターが彼女を訪ねてきた。しかし小山千恵子は表に出ることを好まず、断っていた。
しかし今となっては、大衆の前で盗作の噂を晴らすには、これが最も早い方法だった。
だが今や小山千恵子の地位と評判は当時とは比べものにならないほど落ちており、スキャンダルに囲まれ、藤原晴子と小山千恵子には賭けに出るしかなかった。