第43章 私はあなたが来ることを知っていた

小山千恵子は口を開いた。「あのバラエティ番組『新入生』のことですか?」

藤原晴子は口角を上げた。「そう、同じことを考えていたのね」

小山千恵子は両手を握りしめ、うつむいて考え込んだ。

『新入生』はデザイナーのためのバラエティ番組で、デザイナーとタレントをマッチングさせることで、デザインの発想や演技の幅を広げるものだった。

彼女がサンダースとしての身分を公表した直後、ディレクターが彼女を訪ねてきた。しかし小山千恵子は表に出ることを好まず、断っていた。

しかし今となっては、大衆の前で盗作の噂を晴らすには、これが最も早い方法だった。

だが今や小山千恵子の地位と評判は当時とは比べものにならないほど落ちており、スキャンダルに囲まれ、藤原晴子と小山千恵子には賭けに出るしかなかった。

炎上も話題性のうちという考えや、話題性がもたらす視聴率という観点から、藤原晴子の説得により、『新入生』の演出チームからプロデューサーまで、全員が小山千恵子の参加を承諾していた。

しかし問題は最も格の高いゲストにあった。

映画界の帝王、渡辺昭は、名指しで小山千恵子の参加を望まないと言い放った。

小山千恵子が簡単に調べたところ、先日浅野武樹に厳しく懲らしめられた大野武志が、渡辺昭の叔父だということが分かった。

小山千恵子は理解した。

彼女は今も浅野家の嫁、浅野夫人という肩書きを持っており、誰も彼女が本当に実力で参加しているのか確信が持てないのだ。

渡辺昭は自身の映画界の帝王としての影響力と立場を盾に、はっきりと宣言した。

「小山千恵子が来るなら、この番組には出ない」

藤原晴子は電話で憤慨しながら小山千恵子に話した。「だから制作側は当然大物を取るわよ。私が何か方法を考えているところ」

小山千恵子は部屋を行ったり来たりしながら、突然立ち止まり、何かを思いついたようだった。

「慌てないで、私に考えがあるわ。渡辺昭がこの番組に参加を承諾したのは、スタイリストチームと揉めたからでしょう?」

藤原晴子は不満げに呟いた。「そうだけど……」

小山千恵子は夕陽に向かって立ち、目を固く見開いて声を落として言った。