第45章 浅野武樹は彼女が盗作していないことを知っていた

ちょうど最近『新入生』の件で、小山千恵子と渡辺昭の関係が注目を集めている中、数枚の写真があっという間にトレンド入りした。

#小山千恵子渡辺昭パーティーで密会#

トレンドのタイトルは曖昧な表現で、すぐに「急上昇」マークが付いた。

さらに写真のアングルが非常に巧妙で、位置関係によっては二人が親密にキスをしているように見えた。

藤原晴子は自宅で落ち着かない様子で、小山千恵子からの連絡を待っていた。

トップニュースを開いた途端に目が暗くなり、親友の名前がまたトレンド入りしているのを見た。

「渡辺昭は頭がおかしいんじゃない!一流女優たちが列を作ってCPを組みたがってるのに、なんで千恵子に絡むのよ!」

すぐに会場内で騒がしい議論が始まった。

小山千恵子は会場内の様子を警戒しながら確認し、携帯を手に取ると藤原晴子からのメッセージを見た。

藤原晴子:姉さん、用が済んだら早く退散して。またトレンド入りしたわ。

小山千恵子は背筋が凍る思いがした。

やはり、このような場所では、どんなに控えめにしていても無駄だった。

渡辺昭はパーティーの主役で、当然すべての目が彼に向けられていた。

これはプライベートパーティーで、特別な招待状がないと入場できないはずだが、警備もそこまで厳重ではなかった。

そうでなければ、藤原晴子が招待状を手に入れ、小山千恵子を潜り込ませることもできなかっただろう。

小山千恵子はハンドバッグを手に取り、立ち上がり、去り際に一言残した。

「渡辺さん、私は先に失礼します。番組でお会いしましょう。その他のことについては、申し訳ありませんが協力できません。」

芸能界で長年を過ごしてきた渡辺昭は、何が起きたのか当然わかっていた。

携帯を一瞥し、小山千恵子を引き止めようとはしなかった。

今日の目的は既に達成されていた。

大野武志が浅野武樹にやられたのは、利害の衝突があり、把柄を握られていたからだ。

彼のような家柄もない俳優に、浅野武樹が何をできるというのか?

どうせこの芸能界も、彼渡辺昭はもう見切りをつけていた。

前回の生配信以来、桜井美月は浅野武樹に会っていなかった。

そして、あのサザビーズのオークションで浅野武樹が彼女のためにサンダースのウェディングドレスを2000万円で落札して以来、そのドレスを見ていない。