第70章 デマを叩きのめす

小山千恵子はもう立っているのがやっとだった。

幸い、立体裁断の部分は終わり、座って一息つけるようになった。

夜も更けて、デザインスペースにはわずかな人しか残っていなかった。

現場で立ち尽くすよりも、ベッドで配信を見る方がいいに決まっている。

桜井美月と熊谷玲子も部屋に戻った。

部屋に入るなり、桜井美月は怒りに任せてハンドバッグを床に叩きつけた！

「小山千恵子のあの売女！目立ちたがり屋め！」

熊谷玲子は冷ややかに彼女の後ろに立ち、いつものように桜井美月の散らかした物を拾おうとはしなかった。

彼女は誰よりもよく知っていた。小山千恵子こそがサンダース本人だということを。

桜井美月は浅野家の寵愛を頼りに、ここで無茶をしているだけだった！

桜井美月は熊谷玲子が動かないのを見て、振り返って彼女を睨みつけた。