第69章 桜井美月の顔を打つのはまだ足りない

小山千恵子はその場に立ち尽くし、熱い視線が一斉に彼女に注がれるのを感じた。

彼女は客席の制作陣に目を向けたが、白石監督は視線を避けた。

誰も制止しようとはしなかった。

小山千恵子は横を向き、桜井美月の目に浮かぶ得意げな表情を見た。

彼女は、この収録の後で番組を去ることになるのを知っていた。

なのに、この瞬間になっても諦めきれず、盗作の罪でこのステージに自分を葬ろうとしているなんて!

客席からは不快な噂話が飛び交っていた。

「二つの作品には確かに大きな差があるわ。小山千恵子によくこんなことができたわね」

「私が桜井美月なら怒り狂うわ。高額なウェディングドレスが小山千恵子の作品だと言われて、私だって吐き気がするわ」

「彼女がどうやって自分の潔白を証明するのか気になるわね。お腹を切り開いて、どれだけの粉を食べたか見せるの?ハハハ」