第128章 桜井美月は血液科に何をしに行ったのか

白野部長は引き出しをパタンと閉め、額の汗を拭った。

「桜井さん……どうなさるおつもりですか?」

桜井美月は白野部長のオフィスのソファに座ったまま、テーブルの上の茶器を弄びながら余裕そうな様子を見せていた。

「聞いた話では、ある種の感染症は骨髄提供の条件に合わないそうですね。」

白野部長は心臓が縮む思いで、思わず動揺を見せた。

「その方が帝都に到着してから、条件不適合の報告書を出すということですか?」

桜井美月は指を振り、蛇のように毒々しい表情を浮かべた。

「今や小山千恵子側はかなり警戒していて、一枚の報告書では彼らを騙せないでしょう。それに、人選は千葉隆弘側が行ったので、私たちには入院させる権利もありません。」

彼女は立ち上がり、白野部長の椅子の後ろに回って、両手で回転椅子の背もたれを掴んだ。「あの可哀想なドナーに、少し犠牲になってもらうしかないわね。」