第127章 彼女を絶望の中で死なせる

小山千恵子は体を起こすと、腕に痛みを感じた。

下を見ると、腕には大小三本の留置針が刺さっており、手首には点滴が繋がれていた。

耳元では機械が規則正しく音を立て、病室には以前入院していた時よりも高度な機械が増えていた。

小山千恵子は指を動かしながら尋ねた。「私の病状は、今どうなっているの?」

千葉隆弘と藤原晴子は顔を見合わせ、言いよどんだが、結局千葉隆弘が口を開いた。

「千恵子さん、造血幹細胞がもう機能していません。今は基本的に外部の留置針で血液バランスを維持している状態です。」

小山千恵子の目が暗くなった。「つまり、今は入院して療養しなければならないということね。」

千葉隆弘は胸が痛み、急いで言った。「でも適合ドナーが見つかりました!新国にいて、こちらに来るまで一週間かかりますが、私たちのチームはいつでも手術できる準備ができています。」

藤原晴子は心配そうに小山千恵子を見つめた。「千恵子、もちろん私も早く手術してほしいわ。でも今の帝都は危険すぎる。黒川芽衣が見つけられない場所に移動した方が安全かもしれない。」

小山千恵子も難しい選択に思いを巡らせた。

藤原晴子の言う通りだった。彼女が連れ去られたのは療養院の入り口でのことで、ここは既に何度も騒動を経験している。桜井美月にしても黒川芽衣にしても、彼女の命綱である祖父が療養院にいることを知っているはずだった。

しかし、移動するとしてもどこへ行けばいいのか。

千葉隆弘は苦しそうに言った。「どうしても移動が必要なら、海都市しかありません。他の場所では、チームと機器の準備が間に合いません。」

藤原晴子は額を擦りながら言った。「黒川芽衣は海都市の地元の実力者よ。そっちの方がもっと危険かもしれない。」

小山千恵子は黙ったまま、心の中で不安が募っていた。

以前、桜井美月は血液がんの治療を何としても阻止しようとし、浅野武樹の庇護の下でさえ、化学療法は婦人科診察室で秘密裏に行わなければならなかった。

彼女は、公式に記録された自分との適合ドナーに対して、黒川芽衣と桜井美月が手を出さないはずがないと確信していた……

小山千恵子は病室の沈黙を破って、別の話題を持ち出した。

「隆弘、私の骨髄適合者を、他にも探している人がいるはずよ。治療よりも、ドナーの身の安全を守ることを優先して。」