第140章 最初から彼女が白血病だと知っていた

千葉隆弘は優しく微笑んだが、足を止めて近づくのを控えた。

千葉グループの医療チームの新薬について、まだ確信が持てなかった。

重要な抽出物がまだ一つ足りず、さらなる交渉が必要だった。

「千恵子さん、しばらく休養してください。海都市の方の手配が整い次第、すぐにお知らせします」

藤原晴子は小山千恵子のベッドを下げ、部屋の明かりと温度を調節してから、千葉隆弘と共に病室を出た。

誰にも聞かれないことを確認してから、せっかちな藤原晴子は小声で尋ねた。「隆弘、あの抽出物の進展はどう?」

彼女は千葉隆弘が最近それで頭を悩ませていることを聞いていた上、小山旦那様が突然亡くなったこともあり、この重要な抽出物の件は全く進展がなかった。

千葉隆弘の表情は病室にいた時とは打って変わって厳しく、声を潜めて重々しく言った。「良い進展はありません。悪い方はありますが。帝都のある研究所が抽出技術を持っているのですが、企業の代表との面会を一貫して拒否しています。私は一度も会えていません」